Swift 実践入門 感想
Swift実践入門 ── 直感的な文法と安全性を兼ね備えた言語 (WEB+DB PRESS plus)
- 作者: 石川洋資,西山勇世
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2017/02/07
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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自分についての背景
- C# 数年
- Objective-C は触っただけくらい
- Swift は、Optional についてやや知っている程度
読んだきっかけ
C# 開発者向けの Swift 本を探していたところ、この本を推奨されたので読みました。
感想など
自分が目的を果たせたという面から、C# 開発者が学ぶにはとても良い本だと思います。毎日少しずつ読んで 3 週間ほどで読み終わりました(一般的には長い方だと思います)。Mac で iBooks と
Playgrounds と画面を並べて読みました、快適でした。たまに Windows 上で読んでいた時は、IBM Swift Sandbox で実行していました。
この本がアピールしている通り、仕様の説明の後に実践的な記述についての説明があるのがよかったです。最後に総合的なまとめとして GitHub の検索プログラムの例が載っているのもよかったです。
注意したいのは、執筆時のバージョンは Swift 3 だったので、Swift 3.1 な今とは少し違う点です(といっても、警告がわずかに出るくらいでした。文字列補完での Optional 型の記述についてです)。また、キーワード・仕様の日本語訳が、ネットにある他の記事と違う場合があるので、日本語で固定して覚えるよりは、英語も確認した方が良さそうです。例えば、「連想値(associated value)」「連想型(associated type)」「失敗可能イニシャライザ(failable initializers)」など。
予想外だったのは、最後の章 Swift から Objective-C の利用についてです。Objective-C って Swift 向け?にいろいろ変わってるんだなー、へー、とパラパラ読みました。
Swift と C# について
この本を読む前に Swift のコードを読む機会がいろいろあったのですが、思ったのは、最初に Swift のクロージャの仕様を把握しておいた方がリーディングは捗りそう、ということです。Swift では、いろいろ省略した記述ができます。
基本的な言語仕様においては、簡単な記述が多いので身構えなくてOKだと思いました。検査例外について、勝手に難しそう、と思っていましたが意外とキーワードは少なめでした。try と Optional の対比がいいなーと思います。
その他、いいなーと思ったところです:
- enum の Raw Values, 完備性
- パターンマッチ
- if let a = a { ... }
- defer
- 決まっているのならいろいろ省略できるところ(強力な型推論、と言っていいのだろうか? 加えて記述の簡易さ)
- extension, protocol extension
- クロージャ
”基本的な仕様においては”、C# と似ているので、本の内容は理解しやすいです(氷山の一角だろうと思いますが…)
[最後に] ノート
感想ノートを gist にアップしましたhttps://gist.github.com/hhyyg/3a35b19304fb1ab2c572111ce5e0b6a2
完全に自分向けなので読みにくいと思います。また、本の記載内容と自分が補足したことが混ざっています。
Microsoft Bot Framework の支払い機能を試す
Microsoft Bot Framework の Payments 機能を試してみました。この機能は、Build 2017 で発表されたものです。概要と手順の補足を記載します。
ドキュメント
- Request payment - Bot Framework | Microsoft Docs
- Starting Guide。この情報を参考に本エントリーを書いています。
- BotBuilder-Samples/CSharp/sample-payments at master · Microsoft/BotBuilder-Samples
- C# のサンプル
概要
試してみて、以下のことが分かりました。
- Bot Framework の支払い機能では、「Stripe」決済サービスと、Microsoft Seller Center のサービスを使っている。
- Microsoft Seller Center による決済 API は、Edge や UWP、Bot、Web 等で使える。Microsoft による Request Payment API の実装によるもの。
- ユーザーは、Microsoft アカウントに紐づくクレジットカード情報を入力することになる(その場で登録することも可能)。
- Stripe の UI が使えるわけではない(これは私が勝手に、Stripe のリッチな UI でカード情報が入力できたり、ApplePay が使えるのかと勘違いしていた、実際は使えない)。
- Microsoft Seller Center と Bot Framework により、支払いフロー上の少なくとも3つのタイミング―「住所更新」「配送オプションの更新」「カード選択完了」をフックでき、そのタイミングに開発者はロジックを挿入できる。
- このタイミングでは、クレジットカード入力画面から、Bot Framework のバックエンドに HTTP Callback が行われる。
- Microsoft Seller Center と、Stripe にはテストモードが用意されている。
手順
Request payment - Bot Framework | Microsoft Docs このドキュメントの手順によりサンプルを試すことができます。ここでは、補足事項を記載します。
1. Stripe アカウントを用意する
即時サインアップすることができました。
2. Microsoft Seller Center と Stripe アカウントを紐づける
Microsoft Seller Center にサインインし、先ほど用意した Stripe アカウントを紐づけます。 私の場合は、紐づけようとしても「既に紐づけられてる」という旨のエラーメッセージが表示されその先に進めませんでした。が、1日経った後にもう一度試してみると無事接続できました。また、先の手順が記載されているドキュメントにて「US-base なアカウントのみ有効」というコメントがありますが、私の日本のアカウントでも大丈夫な模様でした。
3. Bot Framework のプロジェクトと、Bot Framework の登録を行う
基本的なことは、こちらのハンズオンの資料(satonaoki/help-desk-bot-lab-ja: ヘルプ デスク ボットのハンズオン ラボ (Help Desk Bot Hands-on Lab))で参照できます。 Visual Studio で C# なプロジェクトを用意し、Bot Framework のサイトに Bot を登録します。
プロジェクトは、BotBuilder-Samples/CSharp/sample-payments at master · Microsoft/BotBuilder-Samples こちらのサンプルから DL してもよいですし、Bot Framework のプロジェクトテンプレートから作成して コードをコピペしてもよいです。GitHub のサンプルの方は、必要最低限の依存になっていますので、Web.config の編集だけで済むと思います。
Web.config は、次のように値を設定します。
<configuration> <appSettings> <add key="BotId" value="Bot" /> <add key="MicrosoftAppId" value="***" /> <add key="MicrosoftAppPassword" value="***" /> <!--This flag indicates if pay method is in test mode or not.--> <add key="LiveMode" value="false" /> <!-- true/false --> <!-- mswallet merchantId--> <add key="MerchantId" value="***" /> <add key="StripeApiKey" value="***" /> <add key="InvalidShippingCountry" value="ZW" /> </appSettings>
- MicrosoftAppId、MicrosoftAppPassword
- Bot Framework のサイトから参照
- LiveMode
- false にすると、Bot の支払いがテストモードであることを示します。
- MerchantId
- Microsoft Seller Center の Dashboard から取得できる「MerchantId」を入力します
- StripeApiKey
- Stripe のサイトから取得できる「API Key」を取得します。テストモードとそうでないときで Key が違うことに注意してください。テストモードにする場合は、Stripe の Dashboard の左下あたり「View test data」を有効にします。Key は、「API」メニューの「Secret key」の値です。
4. 金額を変えたい場合
金額を変更したい場合は、C# プロジェクトの方の「Services/CatalogService.cs」で「CatalogItem.Price」を、「Services/ShippingService.cs」で「PaymentShippingOption.Amount」の値を変更します。
5. その他 コードについて
サンプルで表示される「Buy」ボタンのあるカードは、Hero タイプの Rich Card と、Payment タイプの CardAction のボタンで構成されています。ボタンには、商品情報(PaymentRequest)が JSON 形式で格納されています(下の図)。
この「Buy」ボタンを押すと、「wallet.microsoft.com」にブラウザで遷移し、支払情報を入力する画面が表示されます。このとき、「住所更新」「配送オプションの更新」「カード選択完了」のタイミングで、wallet.microsoft.com から
Bot Framework のバックエンドに対して HTTP Callback が実行されます。Callback 先は、C# プロジェクトのMessagesController.cs
のOnInvoke
メソッドです。引数のinvoke
でどのタイミングかを識別できます。Bot Emulator で試すと、Fiddler 等で HTTP Callback の中身を確認できます。次のコードはその中身の Body の例です。
POST http://localhost:3979/api/messages HTTP/1.1 Authorization: Bearer ** (略) {"type":"invoke","name":"payments/update/shippingAddress","from":{"id":"ek5d48fcgd78"},"conversation":{"id":"a4941g4ldad8"},"relatesTo":{"bot":{"id":"mmmanb059a0di6ef"},"channelId":"emulator","conversation":{"id":"8m2id4fd6meg"},"serviceUrl":"http://localhost:1308","user":{"id":"default-user","name":"User"}},"value":{"id":"bc861179-46a5-4645-a249-7eba2a4d9846","shippingAddress":{"addressLine": (略)
6. デプロイ
Bot Emulator 上でもある程度試すことができますが、実際に支払いを試したい場合は、Azure App Service 等にアップロードします。Web.config の LiveMode, StripeApiKey は状況に合わせて変更します。
最後に、支払いを試したときのスクショを貼って、終わりとします。
(Stripe の Dashboard にて。\76 売りあがってる~)